2011年03月08日

ゴムへの郷愁

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ギャラリーPaw(ポー)での素材展がもうすぐ始まる。数年継続している企画もいよいよ佳境に入り、参加するのが楽しくなって来た。今回のテーマは「ゴム」。輪ゴムやゴム手袋、パッキングやホース、画材でもあるゴム糊や消しゴム、他に卓球ラケットのラバーなどもある。ストレッチ素材の服も既に一般化している。日常よく目にし、お世話にもなっているが少々劣化が早いのが難である。しかし素材としては松脂のような色やネットリ感は魅力的だし、燃やした時のキナ臭さでさえも懐かしい。昔、輪ゴムは身近な遊び道具であったのだ。簡単に伸びて瞬間的に戻るゴム特有の性質は子供心にも好ましく、カラクリを発明したり玉を飛ばしたり、今でもその興奮を思い出す。

今回私は、ゴム素材を作品の要素として扱う際に、ゴムの黒い色やマットな質感や独特の匂い等から色々なものを連想した。例えば、「春を待つ虫たち」や「夜の闇」や「置き去りにされる夏」や「力を吸収する盾」。或いは「戦車のタイヤや軍靴に対する嫌悪感」そして「発酵というメカニズム」等を脈絡なく。
画像左のオブジェは「赤と黒」、画像右の平面は「ハウス」、他に4点作りました。


「素・ゴム展」
2011・3・11(金)〜20日(日)
14日(月)定休日
12:00〜19:00(最終日17時)

30名の作家が出品予定。

ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
0797−32−1791
阪神芦屋駅より、線路沿いに東に徒歩3分
JR芦屋駅より、県芦方面に南下8分位
posted by TERADA Mariko at 21:30| 日記

2011年02月15日

ルーシー・リーの奇跡

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中之島(大阪)の市立東洋陶磁美術館でのルーシー・リー回顧展は一昨日(2月13日)で終了したが、会期末は閉館時間を午後7時まで延長するほど来館者が多かったらしい。ウイーンで研鑽を積んだ後、ナチスの迫害で英国に亡命しロンドンで活動したLucie・RIE(1902−1995)については、最近印刷物も多い。三宅一生が日本に紹介したのはずいぶん前になる。彼女の陶による造形は、繊細な色と曲線的な形が独特で初めて見た時から極めて知的な印象だった。日本で「民芸」運動に関ったバーナード・リーチに影響を受けたと、物の本に書かれてあったが俄かに信じがたい。釉薬をザブッとかける豪快さや厚ぼったい質感とは隔絶しているからだ。もちろん焼成は色出しの実験に適した電気窯に違いない。今回は、ポスターに使われた美しいピンクが入った朝顔形の花器や大皿等の他にも、確かに日本の影響が感じられる小さな酒器なども相当数あり、2百点余のコレクションが展示された。極めて薄作りで計算しつくした一面と、どこか不安定な歪みも併せ持ち、線掻きや色付けの筆使いは硬質で複雑、それでいて愛らしく、しかも毅然としている。まるで奇蹟。画像は売店で求めたTシャツの胸の部分。

同美術館で併設されている特別展示も興味深い。福島サトコ氏の寄贈による川崎毅(1942-)の土と金属による造形。都会のビル群をモチーフした白いオブジェは感傷の余地がなく心地よい。こちらは3月27日(日)まで。
posted by TERADA Mariko at 01:23| 日記

2011年01月19日

美味しそうなジュエリー

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東ドイツ生まれのスーザン・ピーチ(Susan PIETZSCH)は名前からして美味しそう。伊丹市立美術館で、本人によるレクチャーがあった。ジュエリー・デザイナーの枠からは相当はみ出ている。自ら言うように彼女の作品は好奇心と実験精神に導かれている。カラフルな砂糖菓子をそのままコーテイングして首飾りにしたり、型を使いチョコレートそっくりなパーツを作り出したりと変幻自在だ。まるで伝統的な貴金属の「永続性という重石」を跳ね飛ばすかの様。金属を用いるにしても、半透明のサクランボの実(ダイエット砂糖を使って成功)の中に金の種がぼんやり透けて見えたりするのは、用途がなくても美しい。面白い和菓子の木型などもあり、どこも可愛いものであふれている日本での滞在は、かなり彼女に刺激を与えた様子。
伊丹には、伊丹ジュエリーカレッジがある。彫金第一人者の坪文子氏が創設に尽力された。先日のレクチャーにはカレッジの講師陣や生徒らしき人が大勢聴講されていたが、不思議な事にピーチ氏を含めて誰も目立つほどジュエリーで身を飾ってはいなかった。もう既にジュエリーの概念が変わっているのだ。実際に身に付けるかどうかではなく、そのコンセプトを楽しむ時代になっているのだろう。
スーザン・ピーチ展(上の画像は案内状の写真面)は、大阪市西区新町のstudio J にて。
http://studio-j.ciao.jp

一方で1997から彼女はモダン・ジュエリーの可能性を探り公共性を持たせる為、仲間のアーチスト達と工事現場や路上を好んで選び、そこでゲリラ的に展示するというプロジェクトを継続的に展開している。シュムック2(SCHMUCK zwei)という組織の名の由来を質問してみた。「2」は2番目ではなく、2次元、或いは2乗的に広がってゆく意味合いを持たせたとの事。興味深い展示だったに違いない。実際にジュエリーを展示せず結果的にその存在を匂わす写真とか、駅名を金色に塗り替えて違う価値を付け加えたり、車にすっぽりカバー掛けるなどして完成品から属性を拭い取ったり。
スーザン・ピーチ他10名によるシュムック2の「A POSSIBLE DIMENSION」展は、大阪市北区中津のPANTALOONにて。
http://www.pantaloon.org/
posted by TERADA Mariko at 23:56| 日記

2011年01月03日

青ざめた兎

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謹賀新年。寒波に震え上がり青ざめた卯年が始まった。例えば大雪にはどんな交通手段も弱く、やはり油断禁物。そもそも盆暮の民族大移動のような現象そのものが、どこか危険を孕んでいる。ともあれおおよそ天候は予想できる様にもなっているし、情報伝達手段も進歩しているのは確かだ。元日の米子方面への渋滞(車千台)も、一晩で約90cmという記録的な降雪量にも拘わらず、国道沿いの住民の援護もあり解消するまでの時間は予想を超えて早かったらしい。
さて、今年の展望はどうだろうか?特にこの国の政治の見通しは暗い。昨年の今頃は、与党民主党の「新しい公共」とか「友愛」の理念に抜本的変化を期待したのだが、その後またもや首相が交代し参院選で大負けした結果、衆参ねじれたままで審議がもたつき法案も僅かしか通らずといった具合で、絶望するには早いが徐々に熱が冷めてきてしまった。
しかし、一方で停滞した状況は私たち自身の側面の反映とも考えられる。私達は私達の身の丈に応じた政府しか持てないのだから。格差に対する鈍感さや、基地問題を沖縄に押し付けている無責任な態度や、自分の意見をはっきり言う事を避けがちな国民性や、マスコミの流す小出しの扇情的情報を信じ込む民度の低さ等を、日々合わせ鏡のように思い知らされているのだ。政治における分り難さや決断力のなさや見通しの甘さを通して。膠着状態から脱却する切っ掛けが欲しい。
posted by TERADA Mariko at 00:51| 日記

2010年12月16日

ワタ・わた・綿・棉・・・

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師走も押し迫ると、なぜだか慌しくなって見苦しい事この上ない。平常心、平常心、と口をついて出る。
さて、今回のPawの素材のテーマは「綿」。メンではなくワタ。昔はどこでも家中の布団綿の打ち直しをしていた位なのに、今では「綿」はもう日常的に目にするものではなくなっている。それでも言葉は次々と浮かんで来る。綿糸、木綿、綿花、綿雲、綿菓子、縮緬、海島綿、綿羊、綿入れ、脱脂綿、綿棒、綿の様に疲れ泥のように眠る、等々。真綿色したシクラメンの季節でもある。言葉は浮かぶが、素材としての「綿」は、取り留めがなく、なかなか扱い難いものではある。醜いアヒルの子を想像したり、実際に綿棒を使ったり、雲のようにふんわりした猫(画像添付)を描いたり、糸を噴出す砂糖菓子を思い出したりして作品が出来ました。是非ご覧下さいませ。

「素・綿棉展」は12月17日(金)〜26日(日)まで。
20日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 22:57| 日記

2010年11月27日

靴下の再利用

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足元の靴下が派手になり過ぎるのもバランスが悪くて困る。未使用でも長く置くとゴムが駄目になるかもしれない。そこで色目のきれいな靴下を思い切って再利用する事にした。まず踵(かかと)をすこし裏に縫込み、左右の首部分を伸縮する糸で繋いだだけ。ナイロン等はすべすべしているので、試しに首に巻きつけてみると結構具合がよい。麻やウールなどの天然素材はちくちくして苦手な向きにお勧め。
posted by TERADA Mariko at 18:34| 日記

2010年09月11日

箱という宇宙

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ギャラリーPaw(阪神芦屋駅近く)で、素材に因むグループ展が始まった。今回は「箱」がテーマ。宿題のようにテーマを出されると、しばらく頭の隅にそれがあり料理のようにレシピを思いつくのだけれど、形にすると妙な物が出来てしまうこともある。又題名が先に浮かぶ事もある。箱に執着すれば、「雨箱」「跳箱」「重箱」「差箱」「文箱」「靴箱」「弁当箱」「豚箱」「箱入り娘」「箱書」などなど。ギリシア神話の「パンドーラの箱」というのもある。いつも木のパネルにコラージュなどして平面作品を作るので、それ自体が箱形ではある。又キューブのオブジェも好きな形だ。既に摺った版画も使ったので、一日で6点の小品が出来た。それでも残暑が厳しく、根を詰めるとボーっとしてしまい危うく熱中症になりかけてしまい、搬入に遅れるという落ちが付き、肩身を狭くして箱の中に小さくなっておりました。
画像2点は拙作の「差箱」と「スクリュー・ドライバー」

素・hako展は、9月10(金)〜19日(日)
月曜休廊 
12:00〜19:00(最終日17:00)

ギャラリーPaw
0797-32-1791
〒659-0064芦屋市精道町2-15

阪神芦屋駅下車、東へ徒歩5分
JR芦屋駅下車、南に徒歩8分
posted by TERADA Mariko at 19:45| 日記

2010年08月28日

熊野の古道

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誘われて、2004年に世界遺産になった熊野古道ハイキングに参加した。熊野三山への参詣道は、京都から出発し田辺経由で山道から本宮に至る「中辺路」と、串本回りの「大辺路」に大きく分かれるが、今回参加した初心者コースは前者で、昔は上皇や貴族も利用したという熊野本宮大社までの日帰りお手軽コースだったのだけれど、良いとこ取りは昔も今も変わらない。それでも起伏のある山道を含めて7キロの行程を4時間かけて歩くと相当の運動量で、腰の万歩計は2万歩近くカウントし我ながら新記録でもあり、筋肉痛のおまけは良しとした。中辺路の道沿いには王子と名の付く社が沢山まつられていた。王子というのは語り部の説明では、熊野の神の分身という意味だそうな。古の人々も、道中の無事を祈りながら様々な王子社にお参りしたに違いない。実際、道端の大きな石は殆ど行き倒れを葬った墓石だとの事だから、まさに命がけの熊野詣だった訳で、ハイキング気分どころではなかったのだ。確かに薄暗くうっそうとした深い木立と、足元にびっしりと根を張る裏白がかもしだす霊的な雰囲気は猛暑も払う程だった。和泉式部とも因縁があるらしい伏拝の名のある王子社では「伏して本宮の方角の山を拝んだ」先達の歓喜が偲ばれた。古い種から咲いたという蓮花はしおれていたが、花托の中の種に秋を感じた。
posted by TERADA Mariko at 21:55| 日記

2010年06月12日

新聞紙のアート

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Paw恒例の素材展がスタートしている。今回は「新聞紙」。おなじみのアーチストが数多く参加していて、その顔ぶれでPawというギャラリーの傾向が分る様になって来た。例えば中島勉氏(左画像の左右)や椿崎和生氏(左画像の中央上)、そして皆様ご存知の堀尾貞治氏(右画像)と来れば、其々個性的ながらトーンが調和し心温まる。
個人的に、いつも楽しみにしているのは吉田光夫氏の詩(左画像の中央下)。硬く懐かしい言葉が呼応し合い、都会の憂鬱を感じるから。
私もコラージュ作品を2点出品している。タイトルは「間投詞」と「飛白」。
22名の作家による作品が上手く所を得て、オーナーのMOTOMEさんの采配振りも板に付いて来た様だ。

「素・新聞紙展」は6月20日(日)まで。
14日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 19:50| 日記

2010年06月10日

物部隆一という怪物

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画廊ぶらんしゅ(池田市)で、物部隆一展が始まった。今は米子市にアトリエを構える物部(ものべ)氏だが長く関西に住み高校で教鞭を取られていたので、京都や大阪の美術界事情に詳しい。久しぶりにお目にかかり相変わらずの饒舌振りに安心し、又その制作意欲にあふれた作品群に圧倒された。歴史上に名を留める物部(もののべ)氏の末裔という家柄で、代々京都で表具を生業にしていたとの事なのだが、氏のモダンな作風から伝統的な匂いは全く感じられない。京都は時々反骨精神の塊のような人物を輩出する不思議さがあるが、今回同行されている奥様(画像右)曰く、単なる突然変異だと。退職後15年間位で何と40回以上の個展をこなされたのにも驚いてしまう。次々と来訪される教え子達をつかまえては「僕の先生です」と紹介して皆を笑わせる屈託の無さ、それを慈母のように見守る妻という理想的夫婦の姿の一つを見た気がした。どうぞ末永くご活躍を。物部隆一展は6月20日(日)まで。

画廊ぶらんしゅ
〒563-0031 大阪府池田市天神1-5-16
電話 072-761-2626
阪急石橋駅西口より徒歩3分
11:00〜19:00(最終日は16:00)
月曜休廊
posted by TERADA Mariko at 14:54| 日記