2011年01月03日

青ざめた兎

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謹賀新年。寒波に震え上がり青ざめた卯年が始まった。例えば大雪にはどんな交通手段も弱く、やはり油断禁物。そもそも盆暮の民族大移動のような現象そのものが、どこか危険を孕んでいる。ともあれおおよそ天候は予想できる様にもなっているし、情報伝達手段も進歩しているのは確かだ。元日の米子方面への渋滞(車千台)も、一晩で約90cmという記録的な降雪量にも拘わらず、国道沿いの住民の援護もあり解消するまでの時間は予想を超えて早かったらしい。
さて、今年の展望はどうだろうか?特にこの国の政治の見通しは暗い。昨年の今頃は、与党民主党の「新しい公共」とか「友愛」の理念に抜本的変化を期待したのだが、その後またもや首相が交代し参院選で大負けした結果、衆参ねじれたままで審議がもたつき法案も僅かしか通らずといった具合で、絶望するには早いが徐々に熱が冷めてきてしまった。
しかし、一方で停滞した状況は私たち自身の側面の反映とも考えられる。私達は私達の身の丈に応じた政府しか持てないのだから。格差に対する鈍感さや、基地問題を沖縄に押し付けている無責任な態度や、自分の意見をはっきり言う事を避けがちな国民性や、マスコミの流す小出しの扇情的情報を信じ込む民度の低さ等を、日々合わせ鏡のように思い知らされているのだ。政治における分り難さや決断力のなさや見通しの甘さを通して。膠着状態から脱却する切っ掛けが欲しい。
posted by TERADA Mariko at 00:51| 日記

2010年12月16日

ワタ・わた・綿・棉・・・

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師走も押し迫ると、なぜだか慌しくなって見苦しい事この上ない。平常心、平常心、と口をついて出る。
さて、今回のPawの素材のテーマは「綿」。メンではなくワタ。昔はどこでも家中の布団綿の打ち直しをしていた位なのに、今では「綿」はもう日常的に目にするものではなくなっている。それでも言葉は次々と浮かんで来る。綿糸、木綿、綿花、綿雲、綿菓子、縮緬、海島綿、綿羊、綿入れ、脱脂綿、綿棒、綿の様に疲れ泥のように眠る、等々。真綿色したシクラメンの季節でもある。言葉は浮かぶが、素材としての「綿」は、取り留めがなく、なかなか扱い難いものではある。醜いアヒルの子を想像したり、実際に綿棒を使ったり、雲のようにふんわりした猫(画像添付)を描いたり、糸を噴出す砂糖菓子を思い出したりして作品が出来ました。是非ご覧下さいませ。

「素・綿棉展」は12月17日(金)〜26日(日)まで。
20日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 22:57| 日記

2010年11月27日

靴下の再利用

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足元の靴下が派手になり過ぎるのもバランスが悪くて困る。未使用でも長く置くとゴムが駄目になるかもしれない。そこで色目のきれいな靴下を思い切って再利用する事にした。まず踵(かかと)をすこし裏に縫込み、左右の首部分を伸縮する糸で繋いだだけ。ナイロン等はすべすべしているので、試しに首に巻きつけてみると結構具合がよい。麻やウールなどの天然素材はちくちくして苦手な向きにお勧め。
posted by TERADA Mariko at 18:34| 日記

2010年09月11日

箱という宇宙

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ギャラリーPaw(阪神芦屋駅近く)で、素材に因むグループ展が始まった。今回は「箱」がテーマ。宿題のようにテーマを出されると、しばらく頭の隅にそれがあり料理のようにレシピを思いつくのだけれど、形にすると妙な物が出来てしまうこともある。又題名が先に浮かぶ事もある。箱に執着すれば、「雨箱」「跳箱」「重箱」「差箱」「文箱」「靴箱」「弁当箱」「豚箱」「箱入り娘」「箱書」などなど。ギリシア神話の「パンドーラの箱」というのもある。いつも木のパネルにコラージュなどして平面作品を作るので、それ自体が箱形ではある。又キューブのオブジェも好きな形だ。既に摺った版画も使ったので、一日で6点の小品が出来た。それでも残暑が厳しく、根を詰めるとボーっとしてしまい危うく熱中症になりかけてしまい、搬入に遅れるという落ちが付き、肩身を狭くして箱の中に小さくなっておりました。
画像2点は拙作の「差箱」と「スクリュー・ドライバー」

素・hako展は、9月10(金)〜19日(日)
月曜休廊 
12:00〜19:00(最終日17:00)

ギャラリーPaw
0797-32-1791
〒659-0064芦屋市精道町2-15

阪神芦屋駅下車、東へ徒歩5分
JR芦屋駅下車、南に徒歩8分
posted by TERADA Mariko at 19:45| 日記

2010年08月28日

熊野の古道

KUMANO TORII 1008.jpgKUMANO LOTUS 1008.jpg

誘われて、2004年に世界遺産になった熊野古道ハイキングに参加した。熊野三山への参詣道は、京都から出発し田辺経由で山道から本宮に至る「中辺路」と、串本回りの「大辺路」に大きく分かれるが、今回参加した初心者コースは前者で、昔は上皇や貴族も利用したという熊野本宮大社までの日帰りお手軽コースだったのだけれど、良いとこ取りは昔も今も変わらない。それでも起伏のある山道を含めて7キロの行程を4時間かけて歩くと相当の運動量で、腰の万歩計は2万歩近くカウントし我ながら新記録でもあり、筋肉痛のおまけは良しとした。中辺路の道沿いには王子と名の付く社が沢山まつられていた。王子というのは語り部の説明では、熊野の神の分身という意味だそうな。古の人々も、道中の無事を祈りながら様々な王子社にお参りしたに違いない。実際、道端の大きな石は殆ど行き倒れを葬った墓石だとの事だから、まさに命がけの熊野詣だった訳で、ハイキング気分どころではなかったのだ。確かに薄暗くうっそうとした深い木立と、足元にびっしりと根を張る裏白がかもしだす霊的な雰囲気は猛暑も払う程だった。和泉式部とも因縁があるらしい伏拝の名のある王子社では「伏して本宮の方角の山を拝んだ」先達の歓喜が偲ばれた。古い種から咲いたという蓮花はしおれていたが、花托の中の種に秋を感じた。
posted by TERADA Mariko at 21:55| 日記

2010年06月12日

新聞紙のアート

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Paw恒例の素材展がスタートしている。今回は「新聞紙」。おなじみのアーチストが数多く参加していて、その顔ぶれでPawというギャラリーの傾向が分る様になって来た。例えば中島勉氏(左画像の左右)や椿崎和生氏(左画像の中央上)、そして皆様ご存知の堀尾貞治氏(右画像)と来れば、其々個性的ながらトーンが調和し心温まる。
個人的に、いつも楽しみにしているのは吉田光夫氏の詩(左画像の中央下)。硬く懐かしい言葉が呼応し合い、都会の憂鬱を感じるから。
私もコラージュ作品を2点出品している。タイトルは「間投詞」と「飛白」。
22名の作家による作品が上手く所を得て、オーナーのMOTOMEさんの采配振りも板に付いて来た様だ。

「素・新聞紙展」は6月20日(日)まで。
14日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 19:50| 日記

2010年06月10日

物部隆一という怪物

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画廊ぶらんしゅ(池田市)で、物部隆一展が始まった。今は米子市にアトリエを構える物部(ものべ)氏だが長く関西に住み高校で教鞭を取られていたので、京都や大阪の美術界事情に詳しい。久しぶりにお目にかかり相変わらずの饒舌振りに安心し、又その制作意欲にあふれた作品群に圧倒された。歴史上に名を留める物部(もののべ)氏の末裔という家柄で、代々京都で表具を生業にしていたとの事なのだが、氏のモダンな作風から伝統的な匂いは全く感じられない。京都は時々反骨精神の塊のような人物を輩出する不思議さがあるが、今回同行されている奥様(画像右)曰く、単なる突然変異だと。退職後15年間位で何と40回以上の個展をこなされたのにも驚いてしまう。次々と来訪される教え子達をつかまえては「僕の先生です」と紹介して皆を笑わせる屈託の無さ、それを慈母のように見守る妻という理想的夫婦の姿の一つを見た気がした。どうぞ末永くご活躍を。物部隆一展は6月20日(日)まで。

画廊ぶらんしゅ
〒563-0031 大阪府池田市天神1-5-16
電話 072-761-2626
阪急石橋駅西口より徒歩3分
11:00〜19:00(最終日は16:00)
月曜休廊
posted by TERADA Mariko at 14:54| 日記

2010年06月08日

リフレッシュされた一日

先月の「ESPACE446」展をご覧下さった皆様、ありがとうございました。頭の中で描いていたレイアウト通りにすんなりと場所に溶け込んで、大変充実した展示となりました。画廊のお客様の手応えも良く、まだまだやれそうな嬉しい予感と共に、無事終了致しました。

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一息ついた所で、タイミング良く友人から多治見行きに誘われた。阪神・近鉄・JRを乗り継いで、所要時間は3時間程なのだが、ある意味丁度良い気分転換となった。移動はすなわち開放なのだから。
多治見行きの主な目的は、画廊兼ショップの百草での、ダニエル・ポントロー展を見る事。
展覧会のタイトルは「どこかで」。全ての作品が百草という、移築された日本家屋に不思議なほど馴染んでいた。2001年の小西邸(大阪の北浜)とは全く印象が違うのは、やはり自然に囲まれた明るさと、初夏の緑のリフレッシュ効果のせいだろう。ざくっとした土や石の立体、そして紙と土の平面という構成で、野太い力強さと心地よさに一瞬、時間が止まり自分が何処にいるのか忘れるほど。なるほど意識するのは「地球上のどこか」と言う訳だ。この世界を形作る最も単純な要素を過不足なくストレートに提示されてしまうと、素直に頷くしかない。素晴らしい経験だった。画像はポントロー氏の作品の一つで、氏の許可を得て撮影したもの。
この展覧会は6月20日(日)まで。

百草(ももぐさ)
〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
電話 0572-21-3368
11:00〜18:00
会期中無休
posted by TERADA Mariko at 23:33| 日記

2010年05月16日

本町4−4−6の空間

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只今15年ぶりに、ESPACE446(大阪・本町)で個展を開催中です。
懐かしい場所、懐かしい女主人、懐かしいお客様、ともかく懐かしい空気がある。

その昔、仕事帰りに一杯お酒を飲んでいたオジサマ達、皆様お元気ですか?
ギャラリーが、前面のガラス窓に、白いヘルベチカ体(写真)で展覧会を宣伝してくれている。
昔は、手書きの字も多く、こうスマートには行かなかったと思う。
パソコンも、ケイタイもなく、丁寧な時間が流れていた事は確かだ。
環境は飛躍的に進歩したとしても、作品作りは基本的に手作業で本質は変わらない。

作品は、平面小品24点とオブジェ36点、合わせて60点。

GALLERY+CAFE ESPACE446
〒541−0053大阪市中央区本町4−4−6
地下鉄御堂筋線本町駅、D階段8番出口 徒歩2分
TEL 06−6245−0446

2010年5月28日(金)まで
12:30〜21:00 (日曜休廊)
私は、毎火曜日・毎金曜日の午後に在廊しております。
どうぞ、ご覧下さいませ。
詳しい地図は、スケジュールの頁をご覧下さい。
posted by TERADA Mariko at 15:25| 日記

春の狂想曲

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一気に暑くなると思いきや、又寒かったりで、今頃花粉症の症状が出ていて情けない。まさに油断禁物。庭の花々も多少振り回されているらしい。そういえばいつものクロアゲハがまだ来ない。その証拠に木の芽(山椒)がまだ残っている。それでも振り返ればこの春の、花や木の確かな歩みが思い出される。すでに花韮も鈴蘭も姿を消している。クリスマスローズもうつむき加減ながら一つ一つの花が色を微妙に違えつつ長く咲き楽しませてくれた。他所の桜の一足先に雪柳もびっしりと花をつけ庭の印象を明るくしていた。ブルー系の釣鐘草、ヒヤシンスやムスカリなどのユリ科の花は清楚で毎年心引かれるが、なかでもプスキニヤ(写真)は白い花びらにすっとブルーの線が入り魅力的だった。
今年はヒヨドリ対策(テグスを張り巡らしただけなのだ)が功を奏し、木蓮は殆ど蕾を傷められず良く咲いてくれた。山吹は位置を替えたにも拘わらず枝を伸ばし、その後のツツジが咲き終わり、今はツゲに金芽がでている。6月にはクチナシも咲くだろう。隆盛を極めたジャスミンが強烈な香りを振りまいていたが、今朝はもう勢いをなくしている。狂ったように飛び回っていた蜂がどこかに行ってしまった。花壇にびっしりと勢力を誇ったオキザリスも、あっという間に姿を消している。何とめまぐるしい主役の交代だろう。風知草の新緑の葉はきれいに拡がり、ギボウシは立派な花をつけた。そろそろ母の自慢のバラを見に行かなければ。
posted by TERADA Mariko at 12:01| 日記

2010年01月04日

虎視眈々

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謹賀新年。寅、虎、トラの賀状が束になり正月早々に届く。この国のシステムにいつもながら感心する。
郵政民営化の途上で政権交代しても、権力構造の揺り戻しがあろうと無かろうと、この律儀さはやはり国民性と言うべきか。それでも細かく観察すると、近くの郵便局(ゆうちょ銀行)の雰囲気もかなり変わった。窓口のロボットのような受け答えに笑顔がみられるようになったし、奥座敷に居た年長の方は、今ではまるでコンビニの店長のようにサービス精神全開だ。良い変化はどうぞこのままにとお願いしたい。
さて、今年はどんな年だろう。長く固定化した権力構造が昨年一変したばかりだ。予算の組み替えも時間切れでまだ成果は見えないが、民主党の凄腕幹事長が夏の選挙でもう一押しすべく、虎に翼をとばかり狙っているのだから、自民党は壊滅的になり改革がぐっと前進するかもしれない。そういえば先ごろ、日米両首脳の署名入りの非核三原則を裏切るれっきとした公文書が佐藤元首相の私邸から発見されて、驚くやら呆れるやら。外務省の「知らぬ存ぜぬ」はこういう事だったのね。伏魔殿の如く何処に何があるやら分らず、密かに機密文書は破棄されているらしく、国の意志を提示するべき政治が機能せず、あろう事か都合のよい偏向した情報のみ記者クラブ経由で旧態依然たるマスコミから漏洩され続けた60年もの間、持ちつ持たれつの政治家と役人の二人三脚で、誰も責任を取らぬ仕組みは恐ろしく堅固になってしまったのだ。とても民主国家などとはいえない。先月の臨時国会では、野党自民党の元外相が質問に立ち、早く基地問題に決着を付けよとばかり何と「今も逐一アメリカ様がTV中継をモニターしてますよ」と凄んだのだ。染み付いた植民地根性もここに極まれリ。沖縄その他の基地が日本のどんな国益に適うのかを良く考えるべき時がやっと来たというのに、この慌てよう。今こそ眼を光らせて変化の果実を見届けよう。
posted by TERADA Mariko at 14:43| 日記

2009年12月10日

素材としての発泡スチロール

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コラージュが専門の私としては、何はともあれ紙が無くては始まらない。金属はもちろん、ガラスやプラスティック等の硬質な素材も良く使う。木や貝殻などの自然素材にも惹かれる。さて、発泡スチロールはどうか。クッションとしては常日頃お世話になるが、素材として目を留めた事は殆どないのである。芦屋の画廊Paw(ポー)の恒例の素材展は、3月が「釘」、6月が「ガラス」、9月は「ダンボール」と続き、そして今回12月が最後のテーマ「発泡スチロール」。うーん、軽すぎてやはり扱いが難しい。季節柄の静電気も大敵。搬入ぎりぎりまで悩んで、何とか5点制作した。展覧会としても今年最後との事。どうぞご覧下さい。

素・発泡スチロール展
2009・12・11(金)→20(日) 14(月)は休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)

ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
T&F 0797−32−1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩3分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 22:32| 日記

2009年11月23日

そろそろ年末モード

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勤労感謝の日が過ぎると、俄かに年末モードになる様だ。といっても景気は最悪のスパイラルに突入しつつあり、一段と節約が徹底しそうで何だか恐ろしい。こんなご時世にアートなんかにかまけていたら顰蹙(ひんしゅく)を買いそうだが、でもしかし、アートはどんな時も心を暖めるものだと敢えて言いたい。
こんな時こそ、じっくり良いものを造り、それを喜んでくれる愛好家を探そう。希望を捨てない(プラス志向の)熱い心で取り組めば、良き理解者の思慮深い支え(クールな手)に出会うだろう。
posted by TERADA Mariko at 22:13| 日記

2009年09月13日

石の桃

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コンパクトなデジタルカメラも3台目。自分の眼球の水晶体はどんどん濁って視力が落ちてしまって情けない有様だが、カメラの精度は益々上がって怖ろしいほどだ。1000万画素を超えたところで、何か別の次元に入った感じがする。例えばこの二つの桃。右が石の桃。左が生の桃だが、相当硬質に撮れている。中央に何もない構図でも、勝手に焦点を合わせてくれる。何より軽いのが嬉しい。
しかしながら、何もかも望む以上に緻密に撮れてしまう事には、少々疲れてしまう。実際私達の眼はいい加減で、見たい物を見たいように見ているだけなのだから。耳だって何かに気をとられていると全然聞こえないのだし。
昔は、それらしく見える事にどんなに苦労しただろう。光をとことん研究した画家のフェルメール然り。映画監督ルイ・マルは「死刑台のエレベーター」の中で、夜のパリの舗道を表現する為に、昼間レンズを絞ったり、道に水を撒いて撮ったりだの、手の込んだ工夫(確か映画用語で「アメリカの夜」という方法)もあったらしい。
その後、技術が人間の欲望を簡単に実現してしまうと、リアルな事にそれ程執着しなくなるのも必然なのだ。全く遠近法を無視した絵画や、ストーリーのない小説、音そのものを置いてゆくタイプの音楽が新鮮に感じたりしたのも、どこかで感覚の平衡を保つ為の本能的な反発なのだろう。
やはりこのリアルすぎる桃には、紗をかけなくては。
posted by TERADA Mariko at 01:16| 日記

2009年07月12日

香煙あがる家

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蒸し暑い時期には、爽やかな香りが欲しい。世の中に様々な「お香」やその器が溢れているが、選ぶとなるとかなり難しい。仏壇に置くのではないのだから香りも良く選ぶべきだし、器についても部屋の中でさりげなく場所を占める物が望ましい。しかしこれが難しい。如何にもという物が多すぎるから。私が見つけたのは家の形のスモーク・ハウスという木製の商品。ドイツ製。Jan Hartmann のデザイン。最小限のデザインが潔い。使い込むと、木の家がスモークされるので、だんだん香ばしく(?)なる。燃えかすや脂(ヤニ)などの汚れが見えず、良く考えられたグッド・デザインである。

「Smoke House」を扱っているのは、御影の北欧家具のお店 TIMELESS(タイムレス)
神戸市東灘区御影中町6−4−12−1F
078−842−0501
11:00〜18:00/12:00〜19:00(土・日)
木曜定休
7月中はオーナーが北欧で集めた版画を店内に展示中。
http://www.timeless-kobe.jp
posted by TERADA Mariko at 10:55| 日記

2009年07月05日

マダム・グレの古き良き時代

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神戸ファッション美術館で、「マダム・グレの世界展」を見た。1920年代からの本物のオート・クチュール(高級注文服)の数々は壮観で、様々なデザイナーによるドレス群とかなりの数の帽子を間近で見ることが出来る貴重な経験だった。その煌星の中の最後の巨星がマダム・グレ。日本においては、他のデザイナーのものと違い、彼女のオートクチュールの個人蔵はとても少ないとの事。又、プレ・タ・ポルテ(高級既製服)を開始したのは、マダム・グレが一番遅かったと言われている。その辺の事情は、日本で唯一彼女と仕事をした大菅てる子氏が詳しい。今回の展示は、元阪急百貨店のファッション・ディレクターであった大菅氏が当美術館に、当時特別に制作された型紙などの全資料を寄贈された事を記念するものである。
マダム・グレ独特のふんだんに使われた薄絹、気の遠くなる程たたまれた襞などは、一部の富裕層だけが享受できるオート・クチュールという側面をつい忘れさせる。一人のデザイナーの美に対する献身や集中力が生み出した奇跡のような手の技は、現存する精緻の極みであり、二度と作れない贅沢であり、国や時代を超えて価値のあるものに違いない。我国の失われつつある手仕事の継承や保存に思いを馳せずにいられない展示でもありました。
7月5日(日)18:00で終了。

添付画像は、30年前から引出しに入れたままの香水「カボシャール/Cabochard」。乾いた硬質の残り香が今も奥ゆかしい。我家にある唯一のグレ。
posted by TERADA Mariko at 10:09| 日記

2009年06月28日

まりビルが竣工?

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福耳ピアス、というホームページがある。そこに「まりビル」という新しい頁が出来た。版画家岸田真理子さんと、寺田眞理子のふたつのドアが並んでいるのでのぞいて見た。岸田さんの部屋はまだ工事中らしい。寺田眞理子の部屋は、一応体裁が整っていた。なんと最新情報もアップされていた!世の中にこんな風に人知れずこつこつ人の為にホームページを作って下さる人がいる事に感激してしまう。感謝するだけでなく、制作者の評価の仕方や焦点の当て方が分り、一気に世間が広がる気がする。噂では、彼又は彼女はクロスワードパズルを作るのがお仕事らしい。
私も時々、小吹氏の「勝手にRECOMMEND」をチェックする。現代美術の最新情報を知る為と、面識はないが彼の美的傾向に興味があるから。事々左様にいつの間にか情報環境が変わったのだ。情報の取り方だけでなく、知らせ方も多様でまさに双方向になっている事を実感する。アーチストやギャラリー自ら、又は一般の鑑賞者も、そしてその中間にいる積極的な愛好者が、ごく自然にホームページやブログで発信している。日常的に独り言風に或いは批評をこめて。
福耳ピアスは http://www.2933pias.com
posted by TERADA Mariko at 15:03| 日記

2009年06月27日

ブリリアントな二人展

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6月1日から、坪文子さんのジュエリーと私のオブジェという異例の組み合わせの二人展が始まった。肥後橋(大阪)のサントリービル1階のショップ、ステラ&キラナの企画展である。ここは坪さんのデザインによるオリジナルなデザインのアクセサリーを元々扱っていて、他の作家もレベルが高く、時には現代美術的なファイバーワークも見かける。もちろん顧客の眼も厳しい。
坪文子さんの胸を借りるのは、実は2度目。全く違うジャンルなので、お互いに惹き合う事も可能だと思い、喜んで引き受けた。カラフルな積み木のようなオブジェや平面作品の谷間に、きらめく坪さんの最新作が散在し見ているだけで楽しく、私の印象では大成功だったと言える。
ひとまず、足を運んでくださった多くの方に、お礼を申し上げます。

展示は、来週初めの6月30日(火)まで。
12:00〜19:00(最終日は17:00)
日曜定休
ステラ&キラナ 06−6341−2555
地下鉄四ツ橋線・肥後橋駅下車すぐ、又は
京阪中之島線・渡辺駅下車すぐ
posted by TERADA Mariko at 11:50| 日記

2009年06月16日

Pawのきらめく作品群

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阪神芦屋駅下車、東へ3分の所に位置するギャラリーPawは2003年の7月にオープンした。今年の7月で丸6年。企画が多岐に渡り、元気な画廊である。現在、素材展シリーズの第2弾として「ガラス」をテーマに展開している。私自身、最近グループ展にあまり興味がないのだが、今回も参加している。画廊が自宅に近く、オーナーに直に誘われた経緯もあるが、前回のテーマの「釘」の時に参加された作家の中に、いつも注目している個性的な方達がいて面白かったから。面白いだけでなく、上昇志向とは無縁の真摯に制作に取り組む姿勢が、快く琴線に響き励まされる。師も先輩も持たない私としては、今まで通り頑張ろうという気になるのである。
画像は拙作の一つ「PANACHE」。

総勢23名が参加している「素・ガラス展」は21日(日)まで。
ギャラリーPaw:0797−32−1791
12:00〜19:00(最終日17:00)
posted by TERADA Mariko at 21:54| 日記

2009年04月03日

家の中の多様性

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よく家の中を見渡せば、色々な国の種々雑多なものが溢れている。14年前の震災後、物を増やさないと固く決心したはずなのに、、、。20代の頃、トランクひとつに夢を詰め込んでいたのとは大違い。あの頃は毎日、物が増える恐怖と物のない不便を天秤にかけて、気に入った本やレコードを買うべきか諦めるべきか悩んでいた。一方で感じた身軽さ。何も持たない事の自由。それこそが私の失った一番大きな物だろう。もっと物のない時代を潜り抜け格別アメリカに対する憧れが強かった母よりも、不思議な事に私の方が物に対する執着は強いのである。子供の頃から使っているセルロイドの下敷きなどをまだ手放さないのだから、自分でも呆れてしまう。紙や紐や箱やブリキ。今でも素材に対する感度は変わらない。
物に関しては国粋主義者の様な私だが、台所にある外国製品をチェックすると、偶然いわゆる悪の枢軸国の仲間(笑)だったイタリヤやドイツの製品が多いのに気が付く。意外にアメリカ製の物は少なくて、昔心斎橋筋にあった「シアーズ」で買ったミキサーやバケツ位しかないのだ。アメリカ製の物は、大味でもう一つピリッとしないと思っていたが、京町堀にあった「リ・アドレス」という雑貨屋さんで久しぶりに沢山のアメリカ製の文房具や什器を見て、その骨太の素気なさに感激した。こういうのを探していたんですと。その大好きなお店が急に閉店するというので、あわてて買った面白い形の証明器具。
グレーのスチールと白の電球だけ。私の仕事机の周りは無印良品が多く、白とグレーが基調色であるのでぴったり。ブッシュのアメリカは過去のものだし、これからはアメリカの物にも眼を向けよう。
posted by TERADA Mariko at 12:35| 日記