阪神芦屋駅近くのギャラリーPawで、二人展を開催中です。久しぶりの地元での展示なので、アットホームの気楽さを感じています。今回は吉田光夫氏の詩との組み合わせで、どんな展示になるかとても楽しみでもありました。吉田氏はかなり長い「日の繋がり」という詩を作られました。ユニークな試みをされています。何処を切っても起承転結があるように組み立てられてあるのです。本当に切り刻んで短冊にプリントしたのにも驚きます。画期的でもあり、ポップな雰囲気にもなり、企画してくださった画廊のオーナー(アーチストでもあるMOTOMEさん)のセンスに脱帽です。私の方は相変らずのオブジェと明るめの色調の平面モノタイプの作品群を並べました。そして、今回、吉田さんの詩からのインスピレーションを写真画像でも表現しました。それらを詩の近くに撒き散らしてあるのが楽しく、来訪者の目を惹いているのが嬉しくもあります。週末(27日・日曜)まで、あと3日間です。ぜひご覧下さいませ。詳しくは、スケジュール頁に載せました。
寺田眞理子form + 吉田光夫word
2011・11・22(火)〜27(日)
12:00-19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2-15
0797−32−1791
阪神芦屋駅下車、線路に沿って東に徒歩4分
又は、JR芦屋駅下車、南に徒歩9分
2011年11月25日
詩の切り売りという面白さ
posted by TERADA Mariko at 11:25| 日記
2011年05月27日
暑い夏の始まり
立夏が過ぎるや、時に「夏日」が観測されるほど気温が上昇してきた。3・11の東日本大震災以来、原発に頼る暮らしを皆が反省し点検し始めている。こぞって節電モードになれば電力消費量をかなり抑えられるかもしれない。本当に湯水のように電気を使う、煌々とまばゆく闇がない程のっぺらぼうの世界は、まさに砂上の楼閣だったのだから。その楼閣からの放射性物質の放出による被害の実態が日に日に大きくなってくる。事故後しばらくは、TVの情報も事故を小さく見せようとする圧力がかかっている印象を受けた。しかし正直な声もあった。例えば地上波ではないマイナーな局に出演していた元東芝の原子炉格納容器設計技師(後藤政志さん)の発言は忘れない。あの水素爆発した福島第一の1号機は大変古く、自分が設計に関っていたからよく分っているが、多分メルトダウンしていると思う、その危険性が高いと。とてもマグネチュード9になど持ちこたえられないし、ましてや15mの津波になど耐えらるはずもないと。他にも小出氏(京大)や石橋氏(神戸大)など心ある学者は既にチェルノブイリと同程度のレベル7を早々と予想しているのに、政府や東電や役人がそれを認めたのは1ヵ月後だった。やっと炉心溶融なる言葉を当局が発表したのは、2ヶ月経ってからだ。核の傘にしても、原発の安全神話にしてもいつも同じ手口で国民は騙される。騙される方が悪いという見方もあるが、何しろバイアスのかかった情報が小出しにされるものだから、全体を把握できないのだ。一方で内部告発をもみ消した原子力村の上層部に疑問を持ち追求した、元福島知事(佐藤栄佐久さん)は、賄賂事件をでっち上げられて逮捕されてしまった。まるで戦時中の大本営発表に誰も異論を言えない状況と同じなのね。何と恐ろしい。震災も津波も恐ろしいが、情報を操作する人災はもっと恐ろしい。当局だけでなく御用学者や、電力会社からの広告収入と引換えに原発推進に組した大手マスコミなども同罪だ。その根深さが徐々に露呈している。もう隠す事は出来ないだろう。世界中のメディアがG8での菅首相の発言を注視している今は特に。
posted by TERADA Mariko at 15:32| 日記
2011年03月08日
ゴムへの郷愁
ギャラリーPaw(ポー)での素材展がもうすぐ始まる。数年継続している企画もいよいよ佳境に入り、参加するのが楽しくなって来た。今回のテーマは「ゴム」。輪ゴムやゴム手袋、パッキングやホース、画材でもあるゴム糊や消しゴム、他に卓球ラケットのラバーなどもある。ストレッチ素材の服も既に一般化している。日常よく目にし、お世話にもなっているが少々劣化が早いのが難である。しかし素材としては松脂のような色やネットリ感は魅力的だし、燃やした時のキナ臭さでさえも懐かしい。昔、輪ゴムは身近な遊び道具であったのだ。簡単に伸びて瞬間的に戻るゴム特有の性質は子供心にも好ましく、カラクリを発明したり玉を飛ばしたり、今でもその興奮を思い出す。
今回私は、ゴム素材を作品の要素として扱う際に、ゴムの黒い色やマットな質感や独特の匂い等から色々なものを連想した。例えば、「春を待つ虫たち」や「夜の闇」や「置き去りにされる夏」や「力を吸収する盾」。或いは「戦車のタイヤや軍靴に対する嫌悪感」そして「発酵というメカニズム」等を脈絡なく。
画像左のオブジェは「赤と黒」、画像右の平面は「ハウス」、他に4点作りました。
「素・ゴム展」
2011・3・11(金)〜20日(日)
14日(月)定休日
12:00〜19:00(最終日17時)
30名の作家が出品予定。
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
0797−32−1791
阪神芦屋駅より、線路沿いに東に徒歩3分
JR芦屋駅より、県芦方面に南下8分位
今回私は、ゴム素材を作品の要素として扱う際に、ゴムの黒い色やマットな質感や独特の匂い等から色々なものを連想した。例えば、「春を待つ虫たち」や「夜の闇」や「置き去りにされる夏」や「力を吸収する盾」。或いは「戦車のタイヤや軍靴に対する嫌悪感」そして「発酵というメカニズム」等を脈絡なく。
画像左のオブジェは「赤と黒」、画像右の平面は「ハウス」、他に4点作りました。
「素・ゴム展」
2011・3・11(金)〜20日(日)
14日(月)定休日
12:00〜19:00(最終日17時)
30名の作家が出品予定。
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
0797−32−1791
阪神芦屋駅より、線路沿いに東に徒歩3分
JR芦屋駅より、県芦方面に南下8分位
posted by TERADA Mariko at 21:30| 日記
2011年02月15日
ルーシー・リーの奇跡
中之島(大阪)の市立東洋陶磁美術館でのルーシー・リー回顧展は一昨日(2月13日)で終了したが、会期末は閉館時間を午後7時まで延長するほど来館者が多かったらしい。ウイーンで研鑽を積んだ後、ナチスの迫害で英国に亡命しロンドンで活動したLucie・RIE(1902−1995)については、最近印刷物も多い。三宅一生が日本に紹介したのはずいぶん前になる。彼女の陶による造形は、繊細な色と曲線的な形が独特で初めて見た時から極めて知的な印象だった。日本で「民芸」運動に関ったバーナード・リーチに影響を受けたと、物の本に書かれてあったが俄かに信じがたい。釉薬をザブッとかける豪快さや厚ぼったい質感とは隔絶しているからだ。もちろん焼成は色出しの実験に適した電気窯に違いない。今回は、ポスターに使われた美しいピンクが入った朝顔形の花器や大皿等の他にも、確かに日本の影響が感じられる小さな酒器なども相当数あり、2百点余のコレクションが展示された。極めて薄作りで計算しつくした一面と、どこか不安定な歪みも併せ持ち、線掻きや色付けの筆使いは硬質で複雑、それでいて愛らしく、しかも毅然としている。まるで奇蹟。画像は売店で求めたTシャツの胸の部分。
同美術館で併設されている特別展示も興味深い。福島サトコ氏の寄贈による川崎毅(1942-)の土と金属による造形。都会のビル群をモチーフした白いオブジェは感傷の余地がなく心地よい。こちらは3月27日(日)まで。
同美術館で併設されている特別展示も興味深い。福島サトコ氏の寄贈による川崎毅(1942-)の土と金属による造形。都会のビル群をモチーフした白いオブジェは感傷の余地がなく心地よい。こちらは3月27日(日)まで。
posted by TERADA Mariko at 01:23| 日記
2011年01月19日
美味しそうなジュエリー
東ドイツ生まれのスーザン・ピーチ(Susan PIETZSCH)は名前からして美味しそう。伊丹市立美術館で、本人によるレクチャーがあった。ジュエリー・デザイナーの枠からは相当はみ出ている。自ら言うように彼女の作品は好奇心と実験精神に導かれている。カラフルな砂糖菓子をそのままコーテイングして首飾りにしたり、型を使いチョコレートそっくりなパーツを作り出したりと変幻自在だ。まるで伝統的な貴金属の「永続性という重石」を跳ね飛ばすかの様。金属を用いるにしても、半透明のサクランボの実(ダイエット砂糖を使って成功)の中に金の種がぼんやり透けて見えたりするのは、用途がなくても美しい。面白い和菓子の木型などもあり、どこも可愛いものであふれている日本での滞在は、かなり彼女に刺激を与えた様子。
伊丹には、伊丹ジュエリーカレッジがある。彫金第一人者の坪文子氏が創設に尽力された。先日のレクチャーにはカレッジの講師陣や生徒らしき人が大勢聴講されていたが、不思議な事にピーチ氏を含めて誰も目立つほどジュエリーで身を飾ってはいなかった。もう既にジュエリーの概念が変わっているのだ。実際に身に付けるかどうかではなく、そのコンセプトを楽しむ時代になっているのだろう。
スーザン・ピーチ展(上の画像は案内状の写真面)は、大阪市西区新町のstudio J にて。
http://studio-j.ciao.jp
一方で1997から彼女はモダン・ジュエリーの可能性を探り公共性を持たせる為、仲間のアーチスト達と工事現場や路上を好んで選び、そこでゲリラ的に展示するというプロジェクトを継続的に展開している。シュムック2(SCHMUCK zwei)という組織の名の由来を質問してみた。「2」は2番目ではなく、2次元、或いは2乗的に広がってゆく意味合いを持たせたとの事。興味深い展示だったに違いない。実際にジュエリーを展示せず結果的にその存在を匂わす写真とか、駅名を金色に塗り替えて違う価値を付け加えたり、車にすっぽりカバー掛けるなどして完成品から属性を拭い取ったり。
スーザン・ピーチ他10名によるシュムック2の「A POSSIBLE DIMENSION」展は、大阪市北区中津のPANTALOONにて。
http://www.pantaloon.org/
伊丹には、伊丹ジュエリーカレッジがある。彫金第一人者の坪文子氏が創設に尽力された。先日のレクチャーにはカレッジの講師陣や生徒らしき人が大勢聴講されていたが、不思議な事にピーチ氏を含めて誰も目立つほどジュエリーで身を飾ってはいなかった。もう既にジュエリーの概念が変わっているのだ。実際に身に付けるかどうかではなく、そのコンセプトを楽しむ時代になっているのだろう。
スーザン・ピーチ展(上の画像は案内状の写真面)は、大阪市西区新町のstudio J にて。
http://studio-j.ciao.jp
一方で1997から彼女はモダン・ジュエリーの可能性を探り公共性を持たせる為、仲間のアーチスト達と工事現場や路上を好んで選び、そこでゲリラ的に展示するというプロジェクトを継続的に展開している。シュムック2(SCHMUCK zwei)という組織の名の由来を質問してみた。「2」は2番目ではなく、2次元、或いは2乗的に広がってゆく意味合いを持たせたとの事。興味深い展示だったに違いない。実際にジュエリーを展示せず結果的にその存在を匂わす写真とか、駅名を金色に塗り替えて違う価値を付け加えたり、車にすっぽりカバー掛けるなどして完成品から属性を拭い取ったり。
スーザン・ピーチ他10名によるシュムック2の「A POSSIBLE DIMENSION」展は、大阪市北区中津のPANTALOONにて。
http://www.pantaloon.org/
posted by TERADA Mariko at 23:56| 日記
2011年01月03日
青ざめた兎
謹賀新年。寒波に震え上がり青ざめた卯年が始まった。例えば大雪にはどんな交通手段も弱く、やはり油断禁物。そもそも盆暮の民族大移動のような現象そのものが、どこか危険を孕んでいる。ともあれおおよそ天候は予想できる様にもなっているし、情報伝達手段も進歩しているのは確かだ。元日の米子方面への渋滞(車千台)も、一晩で約90cmという記録的な降雪量にも拘わらず、国道沿いの住民の援護もあり解消するまでの時間は予想を超えて早かったらしい。
さて、今年の展望はどうだろうか?特にこの国の政治の見通しは暗い。昨年の今頃は、与党民主党の「新しい公共」とか「友愛」の理念に抜本的変化を期待したのだが、その後またもや首相が交代し参院選で大負けした結果、衆参ねじれたままで審議がもたつき法案も僅かしか通らずといった具合で、絶望するには早いが徐々に熱が冷めてきてしまった。
しかし、一方で停滞した状況は私たち自身の側面の反映とも考えられる。私達は私達の身の丈に応じた政府しか持てないのだから。格差に対する鈍感さや、基地問題を沖縄に押し付けている無責任な態度や、自分の意見をはっきり言う事を避けがちな国民性や、マスコミの流す小出しの扇情的情報を信じ込む民度の低さ等を、日々合わせ鏡のように思い知らされているのだ。政治における分り難さや決断力のなさや見通しの甘さを通して。膠着状態から脱却する切っ掛けが欲しい。
さて、今年の展望はどうだろうか?特にこの国の政治の見通しは暗い。昨年の今頃は、与党民主党の「新しい公共」とか「友愛」の理念に抜本的変化を期待したのだが、その後またもや首相が交代し参院選で大負けした結果、衆参ねじれたままで審議がもたつき法案も僅かしか通らずといった具合で、絶望するには早いが徐々に熱が冷めてきてしまった。
しかし、一方で停滞した状況は私たち自身の側面の反映とも考えられる。私達は私達の身の丈に応じた政府しか持てないのだから。格差に対する鈍感さや、基地問題を沖縄に押し付けている無責任な態度や、自分の意見をはっきり言う事を避けがちな国民性や、マスコミの流す小出しの扇情的情報を信じ込む民度の低さ等を、日々合わせ鏡のように思い知らされているのだ。政治における分り難さや決断力のなさや見通しの甘さを通して。膠着状態から脱却する切っ掛けが欲しい。
posted by TERADA Mariko at 00:51| 日記
2010年12月16日
ワタ・わた・綿・棉・・・
師走も押し迫ると、なぜだか慌しくなって見苦しい事この上ない。平常心、平常心、と口をついて出る。
さて、今回のPawの素材のテーマは「綿」。メンではなくワタ。昔はどこでも家中の布団綿の打ち直しをしていた位なのに、今では「綿」はもう日常的に目にするものではなくなっている。それでも言葉は次々と浮かんで来る。綿糸、木綿、綿花、綿雲、綿菓子、縮緬、海島綿、綿羊、綿入れ、脱脂綿、綿棒、綿の様に疲れ泥のように眠る、等々。真綿色したシクラメンの季節でもある。言葉は浮かぶが、素材としての「綿」は、取り留めがなく、なかなか扱い難いものではある。醜いアヒルの子を想像したり、実際に綿棒を使ったり、雲のようにふんわりした猫(画像添付)を描いたり、糸を噴出す砂糖菓子を思い出したりして作品が出来ました。是非ご覧下さいませ。
「素・綿棉展」は12月17日(金)〜26日(日)まで。
20日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
さて、今回のPawの素材のテーマは「綿」。メンではなくワタ。昔はどこでも家中の布団綿の打ち直しをしていた位なのに、今では「綿」はもう日常的に目にするものではなくなっている。それでも言葉は次々と浮かんで来る。綿糸、木綿、綿花、綿雲、綿菓子、縮緬、海島綿、綿羊、綿入れ、脱脂綿、綿棒、綿の様に疲れ泥のように眠る、等々。真綿色したシクラメンの季節でもある。言葉は浮かぶが、素材としての「綿」は、取り留めがなく、なかなか扱い難いものではある。醜いアヒルの子を想像したり、実際に綿棒を使ったり、雲のようにふんわりした猫(画像添付)を描いたり、糸を噴出す砂糖菓子を思い出したりして作品が出来ました。是非ご覧下さいませ。
「素・綿棉展」は12月17日(金)〜26日(日)まで。
20日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 22:57| 日記
2010年11月27日
2010年09月11日
箱という宇宙
ギャラリーPaw(阪神芦屋駅近く)で、素材に因むグループ展が始まった。今回は「箱」がテーマ。宿題のようにテーマを出されると、しばらく頭の隅にそれがあり料理のようにレシピを思いつくのだけれど、形にすると妙な物が出来てしまうこともある。又題名が先に浮かぶ事もある。箱に執着すれば、「雨箱」「跳箱」「重箱」「差箱」「文箱」「靴箱」「弁当箱」「豚箱」「箱入り娘」「箱書」などなど。ギリシア神話の「パンドーラの箱」というのもある。いつも木のパネルにコラージュなどして平面作品を作るので、それ自体が箱形ではある。又キューブのオブジェも好きな形だ。既に摺った版画も使ったので、一日で6点の小品が出来た。それでも残暑が厳しく、根を詰めるとボーっとしてしまい危うく熱中症になりかけてしまい、搬入に遅れるという落ちが付き、肩身を狭くして箱の中に小さくなっておりました。
画像2点は拙作の「差箱」と「スクリュー・ドライバー」
素・hako展は、9月10(金)〜19日(日)
月曜休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
0797-32-1791
〒659-0064芦屋市精道町2-15
阪神芦屋駅下車、東へ徒歩5分
JR芦屋駅下車、南に徒歩8分
画像2点は拙作の「差箱」と「スクリュー・ドライバー」
素・hako展は、9月10(金)〜19日(日)
月曜休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
0797-32-1791
〒659-0064芦屋市精道町2-15
阪神芦屋駅下車、東へ徒歩5分
JR芦屋駅下車、南に徒歩8分
posted by TERADA Mariko at 19:45| 日記
2010年08月28日
熊野の古道
誘われて、2004年に世界遺産になった熊野古道ハイキングに参加した。熊野三山への参詣道は、京都から出発し田辺経由で山道から本宮に至る「中辺路」と、串本回りの「大辺路」に大きく分かれるが、今回参加した初心者コースは前者で、昔は上皇や貴族も利用したという熊野本宮大社までの日帰りお手軽コースだったのだけれど、良いとこ取りは昔も今も変わらない。それでも起伏のある山道を含めて7キロの行程を4時間かけて歩くと相当の運動量で、腰の万歩計は2万歩近くカウントし我ながら新記録でもあり、筋肉痛のおまけは良しとした。中辺路の道沿いには王子と名の付く社が沢山まつられていた。王子というのは語り部の説明では、熊野の神の分身という意味だそうな。古の人々も、道中の無事を祈りながら様々な王子社にお参りしたに違いない。実際、道端の大きな石は殆ど行き倒れを葬った墓石だとの事だから、まさに命がけの熊野詣だった訳で、ハイキング気分どころではなかったのだ。確かに薄暗くうっそうとした深い木立と、足元にびっしりと根を張る裏白がかもしだす霊的な雰囲気は猛暑も払う程だった。和泉式部とも因縁があるらしい伏拝の名のある王子社では「伏して本宮の方角の山を拝んだ」先達の歓喜が偲ばれた。古い種から咲いたという蓮花はしおれていたが、花托の中の種に秋を感じた。
posted by TERADA Mariko at 21:55| 日記
2010年06月12日
新聞紙のアート
Paw恒例の素材展がスタートしている。今回は「新聞紙」。おなじみのアーチストが数多く参加していて、その顔ぶれでPawというギャラリーの傾向が分る様になって来た。例えば中島勉氏(左画像の左右)や椿崎和生氏(左画像の中央上)、そして皆様ご存知の堀尾貞治氏(右画像)と来れば、其々個性的ながらトーンが調和し心温まる。
個人的に、いつも楽しみにしているのは吉田光夫氏の詩(左画像の中央下)。硬く懐かしい言葉が呼応し合い、都会の憂鬱を感じるから。
私もコラージュ作品を2点出品している。タイトルは「間投詞」と「飛白」。
22名の作家による作品が上手く所を得て、オーナーのMOTOMEさんの采配振りも板に付いて来た様だ。
「素・新聞紙展」は6月20日(日)まで。
14日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
個人的に、いつも楽しみにしているのは吉田光夫氏の詩(左画像の中央下)。硬く懐かしい言葉が呼応し合い、都会の憂鬱を感じるから。
私もコラージュ作品を2点出品している。タイトルは「間投詞」と「飛白」。
22名の作家による作品が上手く所を得て、オーナーのMOTOMEさんの采配振りも板に付いて来た様だ。
「素・新聞紙展」は6月20日(日)まで。
14日(月)休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
〒659-0064 兵庫県芦屋市精道町2-15
T&F 0797-32-1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩5分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 19:50| 日記
2010年06月10日
物部隆一という怪物
画廊ぶらんしゅ(池田市)で、物部隆一展が始まった。今は米子市にアトリエを構える物部(ものべ)氏だが長く関西に住み高校で教鞭を取られていたので、京都や大阪の美術界事情に詳しい。久しぶりにお目にかかり相変わらずの饒舌振りに安心し、又その制作意欲にあふれた作品群に圧倒された。歴史上に名を留める物部(もののべ)氏の末裔という家柄で、代々京都で表具を生業にしていたとの事なのだが、氏のモダンな作風から伝統的な匂いは全く感じられない。京都は時々反骨精神の塊のような人物を輩出する不思議さがあるが、今回同行されている奥様(画像右)曰く、単なる突然変異だと。退職後15年間位で何と40回以上の個展をこなされたのにも驚いてしまう。次々と来訪される教え子達をつかまえては「僕の先生です」と紹介して皆を笑わせる屈託の無さ、それを慈母のように見守る妻という理想的夫婦の姿の一つを見た気がした。どうぞ末永くご活躍を。物部隆一展は6月20日(日)まで。
画廊ぶらんしゅ
〒563-0031 大阪府池田市天神1-5-16
電話 072-761-2626
阪急石橋駅西口より徒歩3分
11:00〜19:00(最終日は16:00)
月曜休廊
画廊ぶらんしゅ
〒563-0031 大阪府池田市天神1-5-16
電話 072-761-2626
阪急石橋駅西口より徒歩3分
11:00〜19:00(最終日は16:00)
月曜休廊
posted by TERADA Mariko at 14:54| 日記
2010年06月08日
リフレッシュされた一日
先月の「ESPACE446」展をご覧下さった皆様、ありがとうございました。頭の中で描いていたレイアウト通りにすんなりと場所に溶け込んで、大変充実した展示となりました。画廊のお客様の手応えも良く、まだまだやれそうな嬉しい予感と共に、無事終了致しました。
一息ついた所で、タイミング良く友人から多治見行きに誘われた。阪神・近鉄・JRを乗り継いで、所要時間は3時間程なのだが、ある意味丁度良い気分転換となった。移動はすなわち開放なのだから。
多治見行きの主な目的は、画廊兼ショップの百草での、ダニエル・ポントロー展を見る事。
展覧会のタイトルは「どこかで」。全ての作品が百草という、移築された日本家屋に不思議なほど馴染んでいた。2001年の小西邸(大阪の北浜)とは全く印象が違うのは、やはり自然に囲まれた明るさと、初夏の緑のリフレッシュ効果のせいだろう。ざくっとした土や石の立体、そして紙と土の平面という構成で、野太い力強さと心地よさに一瞬、時間が止まり自分が何処にいるのか忘れるほど。なるほど意識するのは「地球上のどこか」と言う訳だ。この世界を形作る最も単純な要素を過不足なくストレートに提示されてしまうと、素直に頷くしかない。素晴らしい経験だった。画像はポントロー氏の作品の一つで、氏の許可を得て撮影したもの。
この展覧会は6月20日(日)まで。
百草(ももぐさ)
〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
電話 0572-21-3368
11:00〜18:00
会期中無休
一息ついた所で、タイミング良く友人から多治見行きに誘われた。阪神・近鉄・JRを乗り継いで、所要時間は3時間程なのだが、ある意味丁度良い気分転換となった。移動はすなわち開放なのだから。
多治見行きの主な目的は、画廊兼ショップの百草での、ダニエル・ポントロー展を見る事。
展覧会のタイトルは「どこかで」。全ての作品が百草という、移築された日本家屋に不思議なほど馴染んでいた。2001年の小西邸(大阪の北浜)とは全く印象が違うのは、やはり自然に囲まれた明るさと、初夏の緑のリフレッシュ効果のせいだろう。ざくっとした土や石の立体、そして紙と土の平面という構成で、野太い力強さと心地よさに一瞬、時間が止まり自分が何処にいるのか忘れるほど。なるほど意識するのは「地球上のどこか」と言う訳だ。この世界を形作る最も単純な要素を過不足なくストレートに提示されてしまうと、素直に頷くしかない。素晴らしい経験だった。画像はポントロー氏の作品の一つで、氏の許可を得て撮影したもの。
この展覧会は6月20日(日)まで。
百草(ももぐさ)
〒507-0013 岐阜県多治見市東栄町2-8-16
電話 0572-21-3368
11:00〜18:00
会期中無休
posted by TERADA Mariko at 23:33| 日記
2010年05月16日
本町4−4−6の空間
只今15年ぶりに、ESPACE446(大阪・本町)で個展を開催中です。
懐かしい場所、懐かしい女主人、懐かしいお客様、ともかく懐かしい空気がある。
その昔、仕事帰りに一杯お酒を飲んでいたオジサマ達、皆様お元気ですか?
ギャラリーが、前面のガラス窓に、白いヘルベチカ体(写真)で展覧会を宣伝してくれている。
昔は、手書きの字も多く、こうスマートには行かなかったと思う。
パソコンも、ケイタイもなく、丁寧な時間が流れていた事は確かだ。
環境は飛躍的に進歩したとしても、作品作りは基本的に手作業で本質は変わらない。
作品は、平面小品24点とオブジェ36点、合わせて60点。
GALLERY+CAFE ESPACE446
〒541−0053大阪市中央区本町4−4−6
地下鉄御堂筋線本町駅、D階段8番出口 徒歩2分
TEL 06−6245−0446
2010年5月28日(金)まで
12:30〜21:00 (日曜休廊)
私は、毎火曜日・毎金曜日の午後に在廊しております。
どうぞ、ご覧下さいませ。
詳しい地図は、スケジュールの頁をご覧下さい。
懐かしい場所、懐かしい女主人、懐かしいお客様、ともかく懐かしい空気がある。
その昔、仕事帰りに一杯お酒を飲んでいたオジサマ達、皆様お元気ですか?
ギャラリーが、前面のガラス窓に、白いヘルベチカ体(写真)で展覧会を宣伝してくれている。
昔は、手書きの字も多く、こうスマートには行かなかったと思う。
パソコンも、ケイタイもなく、丁寧な時間が流れていた事は確かだ。
環境は飛躍的に進歩したとしても、作品作りは基本的に手作業で本質は変わらない。
作品は、平面小品24点とオブジェ36点、合わせて60点。
GALLERY+CAFE ESPACE446
〒541−0053大阪市中央区本町4−4−6
地下鉄御堂筋線本町駅、D階段8番出口 徒歩2分
TEL 06−6245−0446
2010年5月28日(金)まで
12:30〜21:00 (日曜休廊)
私は、毎火曜日・毎金曜日の午後に在廊しております。
どうぞ、ご覧下さいませ。
詳しい地図は、スケジュールの頁をご覧下さい。
posted by TERADA Mariko at 15:25| 日記
春の狂想曲
一気に暑くなると思いきや、又寒かったりで、今頃花粉症の症状が出ていて情けない。まさに油断禁物。庭の花々も多少振り回されているらしい。そういえばいつものクロアゲハがまだ来ない。その証拠に木の芽(山椒)がまだ残っている。それでも振り返ればこの春の、花や木の確かな歩みが思い出される。すでに花韮も鈴蘭も姿を消している。クリスマスローズもうつむき加減ながら一つ一つの花が色を微妙に違えつつ長く咲き楽しませてくれた。他所の桜の一足先に雪柳もびっしりと花をつけ庭の印象を明るくしていた。ブルー系の釣鐘草、ヒヤシンスやムスカリなどのユリ科の花は清楚で毎年心引かれるが、なかでもプスキニヤ(写真)は白い花びらにすっとブルーの線が入り魅力的だった。
今年はヒヨドリ対策(テグスを張り巡らしただけなのだ)が功を奏し、木蓮は殆ど蕾を傷められず良く咲いてくれた。山吹は位置を替えたにも拘わらず枝を伸ばし、その後のツツジが咲き終わり、今はツゲに金芽がでている。6月にはクチナシも咲くだろう。隆盛を極めたジャスミンが強烈な香りを振りまいていたが、今朝はもう勢いをなくしている。狂ったように飛び回っていた蜂がどこかに行ってしまった。花壇にびっしりと勢力を誇ったオキザリスも、あっという間に姿を消している。何とめまぐるしい主役の交代だろう。風知草の新緑の葉はきれいに拡がり、ギボウシは立派な花をつけた。そろそろ母の自慢のバラを見に行かなければ。
今年はヒヨドリ対策(テグスを張り巡らしただけなのだ)が功を奏し、木蓮は殆ど蕾を傷められず良く咲いてくれた。山吹は位置を替えたにも拘わらず枝を伸ばし、その後のツツジが咲き終わり、今はツゲに金芽がでている。6月にはクチナシも咲くだろう。隆盛を極めたジャスミンが強烈な香りを振りまいていたが、今朝はもう勢いをなくしている。狂ったように飛び回っていた蜂がどこかに行ってしまった。花壇にびっしりと勢力を誇ったオキザリスも、あっという間に姿を消している。何とめまぐるしい主役の交代だろう。風知草の新緑の葉はきれいに拡がり、ギボウシは立派な花をつけた。そろそろ母の自慢のバラを見に行かなければ。
posted by TERADA Mariko at 12:01| 日記
2010年01月04日
虎視眈々
謹賀新年。寅、虎、トラの賀状が束になり正月早々に届く。この国のシステムにいつもながら感心する。
郵政民営化の途上で政権交代しても、権力構造の揺り戻しがあろうと無かろうと、この律儀さはやはり国民性と言うべきか。それでも細かく観察すると、近くの郵便局(ゆうちょ銀行)の雰囲気もかなり変わった。窓口のロボットのような受け答えに笑顔がみられるようになったし、奥座敷に居た年長の方は、今ではまるでコンビニの店長のようにサービス精神全開だ。良い変化はどうぞこのままにとお願いしたい。
さて、今年はどんな年だろう。長く固定化した権力構造が昨年一変したばかりだ。予算の組み替えも時間切れでまだ成果は見えないが、民主党の凄腕幹事長が夏の選挙でもう一押しすべく、虎に翼をとばかり狙っているのだから、自民党は壊滅的になり改革がぐっと前進するかもしれない。そういえば先ごろ、日米両首脳の署名入りの非核三原則を裏切るれっきとした公文書が佐藤元首相の私邸から発見されて、驚くやら呆れるやら。外務省の「知らぬ存ぜぬ」はこういう事だったのね。伏魔殿の如く何処に何があるやら分らず、密かに機密文書は破棄されているらしく、国の意志を提示するべき政治が機能せず、あろう事か都合のよい偏向した情報のみ記者クラブ経由で旧態依然たるマスコミから漏洩され続けた60年もの間、持ちつ持たれつの政治家と役人の二人三脚で、誰も責任を取らぬ仕組みは恐ろしく堅固になってしまったのだ。とても民主国家などとはいえない。先月の臨時国会では、野党自民党の元外相が質問に立ち、早く基地問題に決着を付けよとばかり何と「今も逐一アメリカ様がTV中継をモニターしてますよ」と凄んだのだ。染み付いた植民地根性もここに極まれリ。沖縄その他の基地が日本のどんな国益に適うのかを良く考えるべき時がやっと来たというのに、この慌てよう。今こそ眼を光らせて変化の果実を見届けよう。
郵政民営化の途上で政権交代しても、権力構造の揺り戻しがあろうと無かろうと、この律儀さはやはり国民性と言うべきか。それでも細かく観察すると、近くの郵便局(ゆうちょ銀行)の雰囲気もかなり変わった。窓口のロボットのような受け答えに笑顔がみられるようになったし、奥座敷に居た年長の方は、今ではまるでコンビニの店長のようにサービス精神全開だ。良い変化はどうぞこのままにとお願いしたい。
さて、今年はどんな年だろう。長く固定化した権力構造が昨年一変したばかりだ。予算の組み替えも時間切れでまだ成果は見えないが、民主党の凄腕幹事長が夏の選挙でもう一押しすべく、虎に翼をとばかり狙っているのだから、自民党は壊滅的になり改革がぐっと前進するかもしれない。そういえば先ごろ、日米両首脳の署名入りの非核三原則を裏切るれっきとした公文書が佐藤元首相の私邸から発見されて、驚くやら呆れるやら。外務省の「知らぬ存ぜぬ」はこういう事だったのね。伏魔殿の如く何処に何があるやら分らず、密かに機密文書は破棄されているらしく、国の意志を提示するべき政治が機能せず、あろう事か都合のよい偏向した情報のみ記者クラブ経由で旧態依然たるマスコミから漏洩され続けた60年もの間、持ちつ持たれつの政治家と役人の二人三脚で、誰も責任を取らぬ仕組みは恐ろしく堅固になってしまったのだ。とても民主国家などとはいえない。先月の臨時国会では、野党自民党の元外相が質問に立ち、早く基地問題に決着を付けよとばかり何と「今も逐一アメリカ様がTV中継をモニターしてますよ」と凄んだのだ。染み付いた植民地根性もここに極まれリ。沖縄その他の基地が日本のどんな国益に適うのかを良く考えるべき時がやっと来たというのに、この慌てよう。今こそ眼を光らせて変化の果実を見届けよう。
posted by TERADA Mariko at 14:43| 日記
2009年12月10日
素材としての発泡スチロール
コラージュが専門の私としては、何はともあれ紙が無くては始まらない。金属はもちろん、ガラスやプラスティック等の硬質な素材も良く使う。木や貝殻などの自然素材にも惹かれる。さて、発泡スチロールはどうか。クッションとしては常日頃お世話になるが、素材として目を留めた事は殆どないのである。芦屋の画廊Paw(ポー)の恒例の素材展は、3月が「釘」、6月が「ガラス」、9月は「ダンボール」と続き、そして今回12月が最後のテーマ「発泡スチロール」。うーん、軽すぎてやはり扱いが難しい。季節柄の静電気も大敵。搬入ぎりぎりまで悩んで、何とか5点制作した。展覧会としても今年最後との事。どうぞご覧下さい。
素・発泡スチロール展
2009・12・11(金)→20(日) 14(月)は休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
T&F 0797−32−1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩3分、JR芦屋駅より南へ8分
素・発泡スチロール展
2009・12・11(金)→20(日) 14(月)は休廊
12:00〜19:00(最終日17:00)
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
T&F 0797−32−1791
阪神芦屋駅より東へ徒歩3分、JR芦屋駅より南へ8分
posted by TERADA Mariko at 22:32| 日記
2009年11月23日
2009年09月13日
石の桃
コンパクトなデジタルカメラも3台目。自分の眼球の水晶体はどんどん濁って視力が落ちてしまって情けない有様だが、カメラの精度は益々上がって怖ろしいほどだ。1000万画素を超えたところで、何か別の次元に入った感じがする。例えばこの二つの桃。右が石の桃。左が生の桃だが、相当硬質に撮れている。中央に何もない構図でも、勝手に焦点を合わせてくれる。何より軽いのが嬉しい。
しかしながら、何もかも望む以上に緻密に撮れてしまう事には、少々疲れてしまう。実際私達の眼はいい加減で、見たい物を見たいように見ているだけなのだから。耳だって何かに気をとられていると全然聞こえないのだし。
昔は、それらしく見える事にどんなに苦労しただろう。光をとことん研究した画家のフェルメール然り。映画監督ルイ・マルは「死刑台のエレベーター」の中で、夜のパリの舗道を表現する為に、昼間レンズを絞ったり、道に水を撒いて撮ったりだの、手の込んだ工夫(確か映画用語で「アメリカの夜」という方法)もあったらしい。
その後、技術が人間の欲望を簡単に実現してしまうと、リアルな事にそれ程執着しなくなるのも必然なのだ。全く遠近法を無視した絵画や、ストーリーのない小説、音そのものを置いてゆくタイプの音楽が新鮮に感じたりしたのも、どこかで感覚の平衡を保つ為の本能的な反発なのだろう。
やはりこのリアルすぎる桃には、紗をかけなくては。
しかしながら、何もかも望む以上に緻密に撮れてしまう事には、少々疲れてしまう。実際私達の眼はいい加減で、見たい物を見たいように見ているだけなのだから。耳だって何かに気をとられていると全然聞こえないのだし。
昔は、それらしく見える事にどんなに苦労しただろう。光をとことん研究した画家のフェルメール然り。映画監督ルイ・マルは「死刑台のエレベーター」の中で、夜のパリの舗道を表現する為に、昼間レンズを絞ったり、道に水を撒いて撮ったりだの、手の込んだ工夫(確か映画用語で「アメリカの夜」という方法)もあったらしい。
その後、技術が人間の欲望を簡単に実現してしまうと、リアルな事にそれ程執着しなくなるのも必然なのだ。全く遠近法を無視した絵画や、ストーリーのない小説、音そのものを置いてゆくタイプの音楽が新鮮に感じたりしたのも、どこかで感覚の平衡を保つ為の本能的な反発なのだろう。
やはりこのリアルすぎる桃には、紗をかけなくては。
posted by TERADA Mariko at 01:16| 日記
2009年07月12日
香煙あがる家
蒸し暑い時期には、爽やかな香りが欲しい。世の中に様々な「お香」やその器が溢れているが、選ぶとなるとかなり難しい。仏壇に置くのではないのだから香りも良く選ぶべきだし、器についても部屋の中でさりげなく場所を占める物が望ましい。しかしこれが難しい。如何にもという物が多すぎるから。私が見つけたのは家の形のスモーク・ハウスという木製の商品。ドイツ製。Jan Hartmann のデザイン。最小限のデザインが潔い。使い込むと、木の家がスモークされるので、だんだん香ばしく(?)なる。燃えかすや脂(ヤニ)などの汚れが見えず、良く考えられたグッド・デザインである。
「Smoke House」を扱っているのは、御影の北欧家具のお店 TIMELESS(タイムレス)
神戸市東灘区御影中町6−4−12−1F
078−842−0501
11:00〜18:00/12:00〜19:00(土・日)
木曜定休
7月中はオーナーが北欧で集めた版画を店内に展示中。
http://www.timeless-kobe.jp
「Smoke House」を扱っているのは、御影の北欧家具のお店 TIMELESS(タイムレス)
神戸市東灘区御影中町6−4−12−1F
078−842−0501
11:00〜18:00/12:00〜19:00(土・日)
木曜定休
7月中はオーナーが北欧で集めた版画を店内に展示中。
http://www.timeless-kobe.jp
posted by TERADA Mariko at 10:55| 日記