2009年07月05日

マダム・グレの古き良き時代

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神戸ファッション美術館で、「マダム・グレの世界展」を見た。1920年代からの本物のオート・クチュール(高級注文服)の数々は壮観で、様々なデザイナーによるドレス群とかなりの数の帽子を間近で見ることが出来る貴重な経験だった。その煌星の中の最後の巨星がマダム・グレ。日本においては、他のデザイナーのものと違い、彼女のオートクチュールの個人蔵はとても少ないとの事。又、プレ・タ・ポルテ(高級既製服)を開始したのは、マダム・グレが一番遅かったと言われている。その辺の事情は、日本で唯一彼女と仕事をした大菅てる子氏が詳しい。今回の展示は、元阪急百貨店のファッション・ディレクターであった大菅氏が当美術館に、当時特別に制作された型紙などの全資料を寄贈された事を記念するものである。
マダム・グレ独特のふんだんに使われた薄絹、気の遠くなる程たたまれた襞などは、一部の富裕層だけが享受できるオート・クチュールという側面をつい忘れさせる。一人のデザイナーの美に対する献身や集中力が生み出した奇跡のような手の技は、現存する精緻の極みであり、二度と作れない贅沢であり、国や時代を超えて価値のあるものに違いない。我国の失われつつある手仕事の継承や保存に思いを馳せずにいられない展示でもありました。
7月5日(日)18:00で終了。

添付画像は、30年前から引出しに入れたままの香水「カボシャール/Cabochard」。乾いた硬質の残り香が今も奥ゆかしい。我家にある唯一のグレ。
posted by TERADA Mariko at 10:09| 日記