2015年03月11日
「色」のポリフォニー
天気予報通り昼下がり、青空を掻き消すように突然の寒波到来。嘘のような雪が風に舞った。気持ちが既に春に向かっているせいか、真冬よりも寒く感じてしまう。一瞬、遠い記憶がよみがえる。北国の雪に閉ざされたモノトーンの世界。寒さへの生理的な恐怖。諦念が支配する耐え難い停滞。鳥の色さえ冬は寒々しい。白鳥や鶴、カラスにトンビ、ライチョウにオジロワシ、何れも色気のないこと甚だしい。まるで皆、あの一気に春を感じる劇的な変化を待っているかのよう。陽光に包まれ、生命を歓喜する瞬間に憧れてしまうのだ。「色」のある世界の息苦しさも忘れて。
「色」と言えば、昔、日本画で「鳥」に挑戦したことがある。鳥を観察する機会が少なく上手く描けなかった。特にマガモの雄はあまりの色数の多さに腰が引けた。嘴は黄色で、頭は濃緑色、胸は褐色、背は灰褐色、首に白い輪、翼鏡は紫青色、脚は何と橙色なのだから。その果たせなかった苦い経験を思い出しながら、今回参加しているグループ展の為、「鴨」のイメージを喚起した。版画の線と油性インクの色を組み合わせた作品を出している。題名は「鴨の青」。羽根の色は、緑に近い青と言うべきか。英和辞典にDUCK BLUEという表記がある。鴨の雄は羽色から青頸(あおくび)とも言われている。因みに信号の緑も、日本語では「青」である。
素・色展
2015.3.6(金)〜15(日)
12:00〜19:00(最終日17:00)
参加者23名
ギャラリーPaw
芦屋市精道町2−15
0797−32−1791
★阪神芦屋駅下車、線路沿いに東に徒歩5分
posted by TERADA Mariko at 00:58| 日記