松本清張のミステリー(1958年)の題名を思い出させる「点と線」。時刻表マニアの著者が、事件(点)とストーリー(線)を綿密に組み立てる。画期的な手法が今でも新鮮で何度もドラマ化されている。携帯電話も監視カメラもない時代背景の方が断然、時間は丁寧に流れ、登場人物の振る舞いも慎ましい。物言いも優雅とさえ言える。物質崇拝で欲望ばかり肥大化した挙句、失われてしまった物がそこにある。人々の行動範囲があまりにも広がってしまい、ひとりの人間はますます小さな存在になり、衛星からピンポイントで捕捉されている事をつい忘れがち。ドライな視線が、そこに本当の暮らしがある事を忘れさせてしまうのだ。イスラム国の兵士がアメリカ製の武器を持ち、膝を付いた人質を処刑しようとしているTV画像が現実なのか、悪い冗談なのか分からなくなる。一向に治まらないヘイトスピーチを止めさせるにはどうしたら良いのだろう。憎悪をかきたてれば、簡単に右寄りの同じ方向に走り出しそう。無関心が落差を増幅させ、孤独が深まるという悪循環。こんなに老人を狙う詐欺が頻発するのは、何故だろう。点と点をゆっくり繋ぐように、面倒がらず人間関係を育てる感覚を取り戻さねば、又同じ過ちを犯す事になるだろう。
前置きはこのくらいで、既に始まっているグループ展「素 点と線」のご案内をしなければ。
添付画像は、出品している拙作6点のうちの2点。
「PIN POINT/ピンポイント」 と 「BUGFUL/袋一杯」
「素 点と線」展
2014・9・19金曜日 〜 9・28日曜日
12:00 〜 19:00(最終日17:00)
ギャラリー Paw
〒6590064 芦屋市精道町2−15
T&F 0797−32−1791
★阪神芦屋駅から線路の南側沿いに、東に徒歩5分
