2019年08月22日

アッサンブラージュのための引き出し


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2019年7月16日(火)〜28日(日)まで、LADSギャラリー(大阪市福島区福島3‐1‐39メリヤス会館1F)で、個展をしました。
梅雨明け前の蒸し暑い中、搬入を手伝って下さった友人達に、心から感謝致します。
お陰様で作品たちがまるで運命の様に迷いなく、それぞれの場所を与えられました。
言い訳や打算が入り込む不純な制作者の判断よりも、冷徹な第三者の眼が必要です。

会期中ご高覧下さった沢山の皆様にお礼を申し上げます。暑い時期の展示は経験がなく不安で、無謀のそしりを免れないと覚悟していたにも拘らず、旧交を温める機会になりました。お名前がすぐに出ず、戸惑う事もありましたがお許しください。
ただ意味なく記憶を重ねる事が年の功ではなく、意味のある記憶だけをいつでも引き出せる事こそ大切です。

話が飛びますが、私は物を分類する時に「引き出し=箱」にまず同類のものを入れます。色や大きさというよりも素材や形で大きく分けておくと全体が見えて、作品を構成する時に足りないパーツを探すのに便利だから。
今回のテーマは「ASSEMBLAGE/寄せ集め」。
人生は、思いがけない組み合わせで満ちている。その場面に出くわす喜びを味わうのが制作の醍醐味。
元々宝石箱とは縁遠く、玩具箱に心惹かれる体質なのだろう。


posted by TERADA Mariko at 22:36| 日記

2018年10月31日

タイムレスな空間

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TIMELESS版画展A 20181027〜-1.jpgTIMELESS版画展@ 20181027〜-1.jpg

阪急神戸線の夙川駅から出ている甲陽線に沿って西側を走る越木岩筋を、
苦楽園方面に5分ほど歩いたところにある北欧家具のお店が、タイムレス。
コンクリート打ち放しビル1階の窓から見える家具や照明は、一際人目をひく。
店名通りの、何時間見ていても飽きない素晴らしいデザインの物ばかり。
あまりの心地良さに、いつも時間を忘れてしまう。
そこで、数年に一度「版画展」が行われる。
オーナーが北欧で買い付けた物の中には、菅井汲の色褪せない作品もある。
阪神間で特に有名なアトリエ凹凸所属の作家達の作品もあり、レベルが高い。

その中で拙作は、いわゆる「版画」の域から逸脱しているかもしれない。
コラージュを併用したり、手彩色もいとわないモノタイプ(一点物)だから。
タイムレスのセレクトされた時計や文具や什器などと、結構相性が良さそう
だと内心自負する小さなオブジェも出品している。
柔軟な考え方のオーナーに感謝申し上げます。

一昔前は、心斎橋のカッシーナや梅田ハービスにあったアルフレックスなど、
高級輸入家具の店でさえ、壁には額装したポスターしかない場合もあった。
その後、版画が飾られて、やはりポスターより本物が良いと思ったものだ。
今は、一点物だって普通に飾られている。
本物に目が慣れると、「アートのある生活」がすぐそこに待っている。
インテリア群の中に散在する、遠い様で意外に近いアートをお楽しみください。
地図など詳しくは、『スケジュール』の頁で。

タイムレス版画展 VOL.3
2018.10.27(土)〜11.6(火) 11.1(木)定休日    11:00〜18:00

西宮市松生町5−9 夙川アネックス1F TIMELESS
0798−71−3717
posted by TERADA Mariko at 23:30| 日記

2018年06月25日

あなたの賢治を探しに来てください

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「あなたの賢治を探しにきてください」という魅力的なタイトルのグループ展に
参加している。
宮沢賢治のイメージは人により様々だ。
「雨にもマケズ、風邪にもマケズ、、」の詩を暗記させられた人も多いだろう。
天体や鉱物への偏愛という側面もあるし、お話には個性的な動物も登場する。

個人的には、短編の中の独特の東北弁の会話も好ましい。
そのまま読んで頭に入らなくても何となく繰り返す内に、祖母のイントネーショ
ンを思い出してしまい、すんなり分かってしまう。

私はオブジェを5点、平面を6点出品している。
上の画像は、出品作からの2点。
帽子を深くかぶった賢治を蝙蝠の「バットマン」に例えたものと、
小さな平面の「山猫」。

12人の作家の中で、松原秀子さんは特に一見の価値ありです。
沢山の宮沢賢治の本の表紙に使われている、型染版画の原画を出されている。

会期は、6月26日(火曜日)まで。
11:00 〜 19:00(最終日は17:00)

場所は、ギャラリー4匹の猫
大阪市北区茶屋町5-2

06−6359−6516

g@4hikinoneko.com

http://www.4hikinoneko.com
posted by TERADA Mariko at 00:47| 日記

2018年02月09日

ひそかな冒険

3月の初めに、神戸の「ギャラリー島田」で個展をさせてもらう。
画廊のスタッフがレイアウトしてくれた案内状の出来が良く、悦に入っている。

三宮のモダンなビルの中に、スペースが、アン、ドゥ、トロワと、三つもある。
安藤忠雄氏の設計のコンクリート打ち放しの、リランズゲートビルが、画廊に
占拠されている趣。
私が使うのは、1階の北側(山側)の小さいスペースのドゥ(仏語表記でdeux)。
地下のスペースが一番広く、いつも見ごたえのある展示が展開している。

画廊を出て、しばらく坂を海側に南下すると山手幹線に突き当たる。
それが通称ハンター坂。
山手幹線の北側に面した、老舗のにしむら珈琲がハンター坂への目印。
そこから、三宮駅(阪急三宮駅・JR三ノ宮駅・阪神三宮駅)は近い。
山と海に挟まれた神戸らしい界隈は、西に歩けば元町の方に続いている。
鯉川筋までに沢山のお店がひしめいている。
元町商店街の中に、海文堂書店(G.島田の前身で2階に画廊)が、昔あった。
元町と言えば、南京町から海岸の方に少し入り、栄町通りとその一本南側の
乙仲通りに出るのが私の定番のコース。
特に、23年前の地震後も生き残った古いビルの中の探索は、本当に楽しい。
ブティック、古本屋、輸入雑貨、ギャラリー、古着屋など何処も個性的だ。
他の都市にはない魅力にあふれたスポットだと思う。

「ひそかな冒険」という思わせぶりなタイトルは、よそ者の私にとっての
「神戸を歩きまわる時」のイメージでもある。
海に向って開けた地形の「からっとした明るさ」にいつも引き付けられる。
その明朗さを裏打ちする「冒険心」を感じるのだ。

私も、同じ事を繰り返すのではなく制作の上で新しい冒険をしてみたいと思う。
是非、三宮あるいは元町におついでがあれば、ハンター坂まで足を伸ばして
ご覧下さい。

G.島田個展DM_写真面-1.jpg map.jpg ←(地図)

寺田眞理子展

2018年3月3日(土)〜3月8日(木)

11:00〜18:00(最終日は16:00まで)

ギャラリー島田
神戸市中央区山本通 2−4−24 1F
078−262−8058
http://www.gallery-shimada.com
posted by TERADA Mariko at 23:36| 日記

2017年11月02日

干柿の楽しみと、寒風の有難さ

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先月は台風の余波で、蒸し暑く洗濯物も乾かない日々が続いた。
はやく吊るし始めた渋柿が、扇風機を総動員しても、うまく乾かず残念な結果と
なり、しばし好機を待つ事にした。
11月に入り木枯らし一番の声を聞き、再度挑戦してみる事にする。
山形の庄内柿に似た平たい渋柿は、熟して渋が抜ける頃、急に糖度が増す。
陽がさすとオレンジ色に輝きひときわ美しい。

鳥に見つかると元も子もないので後は冷蔵庫で保存する事にする。
だんだん色が濃くなり縮んでゆくのを見ながら、良い硬さを選ぶ。
トロトロからコチコチまで、それなりに美味しい。
正月まで置くと乾燥イチジクの様に黒くなるが、それも又美味だ。

木の実というものの底力には、毎年脱帽するほど感心してしまう。
ヘタの周辺の汚れをしっかり取るように気を付け、皮を剥くだけの手間いらず。
薄皮が出来ると安心して、寒風が吹くのを待つ。
念の為、熟成をうながす強い酒をヘタの周りにスプレーする事もある。
輝くオレンジ色の内側では、一体どんな世界が展開するのだろう。
虫も鳥も寄り付かない渋味が、劇的に、極上の甘みに変わるのだ。まるで神業。

干柿の嫌いな人が意外に多く、不思議に思う。
年末は、西条柿を吊るそう。

posted by TERADA Mariko at 16:34| 日記

2017年07月08日

真夏の夜の夢

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真夏に見る夢にも色々あるが、殆どは夢か現かの白昼夢で
とりとめなく消えてゆく。
夢に題をつけるように、作品が生まれた。
スリリングな梯を綱渡りの様に渡る夢。灯台だけが頼りの当てのない旅の話。
深く記憶に刻まれ繰り返される走馬灯、、、、。

茶屋町にあるギャラリーの「真夏の夜の夢」展に参加し、24点出品している。
ジャンルの異なる10人の作家が参加して、まるで夜空の花火のよう。
その中で特に、秀島踏波の墨の作品や、篠原奈穂子の水彩の作品は、涼感を誘い美しい。

本格的な夏に向かうこの時期、茶屋町は相変わらず活気に満ちている。
新しく高層ビルも出現している。その21階にあるお店の「保存料を使わないお弁当」の噂を聞いたばかり。

「4匹の猫」がギャラリーの名前。
大きなウインドーのある建物を見つけて、是非お立ち寄り下さい。


「真夏の夜の夢」

2017年7月6日(木)・・18日(火) 12日(水)は休廊

11:00・・・・・・・・19:00 (最終日は、17:00)

大阪市北区茶屋町5−2
06・6359・6516

阪急梅田駅、茶屋町口より徒歩1分、聖パウロ教会前
posted by TERADA Mariko at 02:17| 日記

2017年04月01日

花々や鳥達に教えられる日々

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桜の蕾はまだ硬いが、雪柳は満開が目の前だ。
梅は散り、ドイツ鈴蘭はいつの間にか白く可憐な花が鈴なりだ。
クリスマスローズのうつ向きがちの花の、グレイがかったローズ色の濃淡は蝋のように美しい。
楽しみにしていた大ぶりの木蓮の花は開花一歩手前で、全ての蕾をヒヨドリに啄まれてしまった。
鳩が密かに金木犀に巣を作り始めた。枝を運ぶ雄鳩の目覚ましい働きぶりが微笑ましい。

小さい庭にも、まさに悲喜こもごものドラマがある。
昨日の雨で何もかもが、一段と生命力を帯び始めた。

私も、手を動かし頭を少しは絞り集中すると言う、いつものルーテインを取り戻そう。
これこそが万能薬だから。
posted by TERADA Mariko at 14:39| 日記

2016年01月01日

リビング展の総括を、年の変わり目に

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大阪の谷町6丁目の楓ギャラリーに於ける「リビング」展は12月6日(日)に終了
しました。暖冬のお陰もあり、沢山の来訪者がありお礼申し上げます。
20周年を迎えた当ギャラリーが、2人展の企画をして下さり、2人展の相手は、大ベテランの物部隆一氏でした。
彼は幾何学的な色彩に富んだ平面を、私の方は小さなオブジェ(画像・右)を中
心に、点数はかなり多かったですが全体としてメリハリはあったと思います。
記念に矢印の備品(画像・左)を作り、来訪者の目線を誘導してみました。

緻密な打ち合わせもなかったにも拘らずスムーズに飾り付けが出来たのは、二人
とも既に楓ギャラリーで個展をしたことがあり、特徴のある和風モダンな空間に親近感があったからに違いありません。見てくださる方にも楽しんで頂けそうな予感もありました。

昨年、「リビング」というテーマを提案された時から、実はいつもとは違う展開が
出来そうな気がしておりました。マイペースの物部氏の原色的直球の力強さに張り合うつもりは全くなかったので、「小粒でピリリとした変化球」を目指した時から、不思議と肩の力が抜けて展覧会が楽しみに思えたほど。こういう経験はめったにないので、機会を与えられた事を嬉しく思います。
物部氏と教え子達の美術教室の延長のような若々しいやり取りや、長いキャリアの中で培われた厳しくも暖かい友人関係の重みなどを垣間見て、師や先輩を持たない私としては羨ましい場面も多々ありました。

楓G二人展-物部氏と教え子達1.jpg      楓G物部作品コーナー1.jpg
物部隆一氏(左から二人目)と教え子達     物部作品の一部

楓ギャラリー企画の「リビング展」は今後もメンバーを替えて続くとの事です。
請うご期待。益々の発展をお祈り致します。

今年もどうぞ宜しくお願い致します。

posted by TERADA Mariko at 02:13| 日記

2015年07月09日

真夏のリズム

加藤眞琴の1997作品F100号「鳥」-1.jpg真夏のリズム-1-150704-1.jpg真夏のリズム-3-150704-1.jpg真夏のリズム-2-150704-1.jpg

芦屋市立図書館[友の会]が主催した、第56回ライブラリーコンサートが、先日
4日(土曜日)に行われた。あいにくの雨だったが狭いエントラスホールに150
人位の観客が来てくださった。出演は、パーカッションの小野聡子さん、サクソ
フォーンの坂上夏輝さん、ピアノの伊賀美樹子さん。三人とも地球音楽隊「フレ
ンドシップ」の活動会員とのこと。若々しくエネルギッシュなトリオの演奏は、
七夕間近の夜にふさわしいものだった。皆が良く知っている曲を綺羅星のごとく
散りばめて一気に盛り上がった。特にリーダー格のパーカッションの小野さん
は、楽器のお話や作曲家のエピソードも交えて興味を惹きつけてくれた。

ピアノの奥を飾っているのは、加藤眞琴さんのドローイング。タイトルは
『鳥』。引き続き9月までの3ヶ月間、図書館のエントランスの正面に設置され
る。呉川町界隈にお序でがあれば、お立ち寄り下さい。月曜休館。
posted by TERADA Mariko at 00:15| 日記

2015年03月11日

「色」のポリフォニー

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天気予報通り昼下がり、青空を掻き消すように突然の寒波到来。嘘のような雪が風に舞った。気持ちが既に春に向かっているせいか、真冬よりも寒く感じてしまう。一瞬、遠い記憶がよみがえる。北国の雪に閉ざされたモノトーンの世界。寒さへの生理的な恐怖。諦念が支配する耐え難い停滞。鳥の色さえ冬は寒々しい。白鳥や鶴、カラスにトンビ、ライチョウにオジロワシ、何れも色気のないこと甚だしい。まるで皆、あの一気に春を感じる劇的な変化を待っているかのよう。陽光に包まれ、生命を歓喜する瞬間に憧れてしまうのだ。「色」のある世界の息苦しさも忘れて。

「色」と言えば、昔、日本画で「鳥」に挑戦したことがある。鳥を観察する機会が少なく上手く描けなかった。特にマガモの雄はあまりの色数の多さに腰が引けた。嘴は黄色で、頭は濃緑色、胸は褐色、背は灰褐色、首に白い輪、翼鏡は紫青色、脚は何と橙色なのだから。その果たせなかった苦い経験を思い出しながら、今回参加しているグループ展の為、「鴨」のイメージを喚起した。版画の線と油性インクの色を組み合わせた作品を出している。題名は「鴨の青」。羽根の色は、緑に近い青と言うべきか。英和辞典にDUCK BLUEという表記がある。鴨の雄は羽色から青頸(あおくび)とも言われている。因みに信号の緑も、日本語では「青」である。

素・色展

2015.3.6(金)〜15(日)

12:00〜19:00(最終日17:00)

参加者23名

ギャラリーPaw

芦屋市精道町2−15
0797−32−1791

★阪神芦屋駅下車、線路沿いに東に徒歩5分
posted by TERADA Mariko at 00:58| 日記